http://jp.youtube.com/watch?v=2OUaFY6asxU
http://jp.youtube.com/watch?v=-9S_PLadqgU&feature=related(ミームの受け渡し。夢に生きる)
氾教授は、話し終わってゼミの受講生を見渡した。
「先生!」
「何だね、珍君。」
「先生。僕は狩猟採集民族も農耕民族も牧畜民族も結局必要な資源が枯渇すれば同じ行動をとらざるを得ないと思います。これは生物の宿命のようなものではないでしょうか?」
「確かに、羊は草を根こそぎ食べてしまうといって牛の放牧民が非難しているが、牛だって結局餌となる植物が少なくなれば草を根こそぎ食べてしまうことは周知の事実といえるね。」
「有り難うございます、先生。ですから僕は今現在世界を巻き込んで進行中の三極化現象を食い止めるにはもっと根源的な発想の転換が必要な気がするのです。」
「そうだね。僕も君の意見には同感だよ。我々研究者は、そういう問題を見つけ出し、理論を組み立て、世間に提言する。その提言を実現させるのは実業界であり、政界であり、最悪の場合は軍部が実行することもあった。かつては宗教界もそういう力を発揮したものだ。我々は理論を組み立て、提言を世に問うことが任務だよ。」
「僕たちはそれほど無力なんでしょうか?」
「いや、君。悲観するには及ばんよ。実業界にせよ、政界にせよ、軍部にせよ、宗教界にせよ、君、人材がいなければただの木偶の坊の集団に成り果て衰滅する他ない。いまだに人間は有限の時間しか生きられんのだよ。常に若くて有能な人材を補給していかなければならんのだよ。その人材はどこにあるのかね。」
「勿論、大学です。」
「そうだ。君たちが次世代の世界を動かすメンバーになるんだよ。それを忘れてはいかんね。」
「氾教授~、待ってくださぁい。」
珍が教授を追いかけて息を切らせて走ってきた。
「先生~。僕がご馳走しますから一緒にお食事してくださぁい。」
珍が走りながら叫んでいる。
氾教授は立ち止まって珍が追いつくのを待った。
教授は息せきって来る珍を愛でるように細い目をもっと細くしてニコニコしていた。
「珍君、君は父君からお小遣いを貰っておらんのかね。何時見ても薄汚れた同じ服を着ておるね。」
教授は呆れ顔で珍の着ている粗末な服を顎でしゃくって指した。
「先生。先生はいつもおっしゃっておられるではありませんか、人は精神こそ大切にしなければいかん。外見ではないってね。」
コーヒーを啜りながら珍が噛み付いた。
「それは珍君、程というものもあるものだよ。君のは、ひどすぎる。他人に不快感を与えるようなのは高い志の所有者とは言えんよ。」
「先生。お言葉を返して申し訳ありませんが、僕は三着の服を順に洗っていつも清潔にして着ています。そりゃ、今時つぎはぎの服なんか着ている奴はいませんが、僕はこれでいいんです。」
「君ねぇ、この食事代だけでも、結構さっぱりした洋服が買えるんじゃないのかね。」
「そうですね。」
珍がややむくれ気味になってしまいました。
教授は、にやにやしてそういう珍を目を細めて眺めていました。
「先生。又僕をからかって楽しんでおられるんでしょう。そういうのはもう止めてください。」
氾教授は、香りのややきついジャスミン茶の香りを堪能しながらうまそうに啜って、珍の抗議を受け流していた。
珍はしょうがないので食べるほうに集中することにした。
珍はどんな食事もうまそうにがつがつ食べた。
教授はどうにもそういう珍が理解しかねていた。
珍の父親は地方財閥で、教授も相当な資金援助を受けていた。
週に何度か珍が教授を食事に誘い、いつもこういう風に教授にからかわれていた。
「君、君が女性と一緒のところ見たことないね。まさか女性に興味がないんじゃなかろうね。」
「先生、それってどういう意味ですか? 僕が同性愛者だとでも言いたいのですか?」
なんて調子です。
http://jp.youtube.com/watch?v=-9S_PLadqgU&feature=related(ミームの受け渡し。夢に生きる)
氾教授は、話し終わってゼミの受講生を見渡した。
「先生!」
「何だね、珍君。」
「先生。僕は狩猟採集民族も農耕民族も牧畜民族も結局必要な資源が枯渇すれば同じ行動をとらざるを得ないと思います。これは生物の宿命のようなものではないでしょうか?」
「確かに、羊は草を根こそぎ食べてしまうといって牛の放牧民が非難しているが、牛だって結局餌となる植物が少なくなれば草を根こそぎ食べてしまうことは周知の事実といえるね。」
「有り難うございます、先生。ですから僕は今現在世界を巻き込んで進行中の三極化現象を食い止めるにはもっと根源的な発想の転換が必要な気がするのです。」
「そうだね。僕も君の意見には同感だよ。我々研究者は、そういう問題を見つけ出し、理論を組み立て、世間に提言する。その提言を実現させるのは実業界であり、政界であり、最悪の場合は軍部が実行することもあった。かつては宗教界もそういう力を発揮したものだ。我々は理論を組み立て、提言を世に問うことが任務だよ。」
「僕たちはそれほど無力なんでしょうか?」
「いや、君。悲観するには及ばんよ。実業界にせよ、政界にせよ、軍部にせよ、宗教界にせよ、君、人材がいなければただの木偶の坊の集団に成り果て衰滅する他ない。いまだに人間は有限の時間しか生きられんのだよ。常に若くて有能な人材を補給していかなければならんのだよ。その人材はどこにあるのかね。」
「勿論、大学です。」
「そうだ。君たちが次世代の世界を動かすメンバーになるんだよ。それを忘れてはいかんね。」
「氾教授~、待ってくださぁい。」
珍が教授を追いかけて息を切らせて走ってきた。
「先生~。僕がご馳走しますから一緒にお食事してくださぁい。」
珍が走りながら叫んでいる。
氾教授は立ち止まって珍が追いつくのを待った。
教授は息せきって来る珍を愛でるように細い目をもっと細くしてニコニコしていた。
「珍君、君は父君からお小遣いを貰っておらんのかね。何時見ても薄汚れた同じ服を着ておるね。」
教授は呆れ顔で珍の着ている粗末な服を顎でしゃくって指した。
「先生。先生はいつもおっしゃっておられるではありませんか、人は精神こそ大切にしなければいかん。外見ではないってね。」
コーヒーを啜りながら珍が噛み付いた。
「それは珍君、程というものもあるものだよ。君のは、ひどすぎる。他人に不快感を与えるようなのは高い志の所有者とは言えんよ。」
「先生。お言葉を返して申し訳ありませんが、僕は三着の服を順に洗っていつも清潔にして着ています。そりゃ、今時つぎはぎの服なんか着ている奴はいませんが、僕はこれでいいんです。」
「君ねぇ、この食事代だけでも、結構さっぱりした洋服が買えるんじゃないのかね。」
「そうですね。」
珍がややむくれ気味になってしまいました。
教授は、にやにやしてそういう珍を目を細めて眺めていました。
「先生。又僕をからかって楽しんでおられるんでしょう。そういうのはもう止めてください。」
氾教授は、香りのややきついジャスミン茶の香りを堪能しながらうまそうに啜って、珍の抗議を受け流していた。
珍はしょうがないので食べるほうに集中することにした。
珍はどんな食事もうまそうにがつがつ食べた。
教授はどうにもそういう珍が理解しかねていた。
珍の父親は地方財閥で、教授も相当な資金援助を受けていた。
週に何度か珍が教授を食事に誘い、いつもこういう風に教授にからかわれていた。
「君、君が女性と一緒のところ見たことないね。まさか女性に興味がないんじゃなかろうね。」
「先生、それってどういう意味ですか? 僕が同性愛者だとでも言いたいのですか?」
なんて調子です。