ヨルダンの新聞。
この新聞は、今日の日付になっているが、人質交換(swap)に関する記事の日付は一昨日のものである。恐らく、ヨルダン政府が求めている人質交換の条件、すなわち、捕虜になっているヨルダンパイロット・カサスベ(Jordanian pilot Muath Kasasbeh)さんの安否確認の返答が、まだ、イスラム国側から届いていないのだろう。
木曜日、(ヨルダン)政府は、『ヨルダン(政府)が、ヨルダン人パイロット・ Muath
Kasasbehさんは確かに生存しているという確かな証拠を(イスラム国側から)受け取るまでは、囚人・Sajida Rishawiの開放はありえない。』とあらためて確認した。ヨルダン政府は、国内外の圧力もあって、慎重に対処せざるを得なくなっている。
そんな中での、「日刊ゲンダイ」の記事の一部です。
***引用開始
「イスラム国は後藤さんの利用価値の高さに気づいたはずです。何しろ、一時はヨルダン政府に『死刑囚の釈放準備はできている』と公式声明で認めさせた。これまで敵対国と水面下の交渉はあっても、公の場で人質交換を認めさせたのは初めて。日本政府を揺さぶり、ヨルダン政府に泣きつかせたからこそ、これだけの“戦果”を得たと犯人側は考えます。この先も後藤さんの解放をにおわせ、有志連合に加盟する国々に難題を吹っかければ、日本政府が資金力を背景に、都合よく動いてくれる。そのたび“テロリストとは交渉しない”という米国のメンツは潰れ、いずれ有志連合の結束も崩れていく。イスラム国がそう踏んでいても、おかしくないのです」(外交事情通)
最悪、後藤氏はイスラム国の“メッセンジャー”として永遠に利用される恐れもある。昨年11月に拘束を把握した時点で安倍官邸が早期解決に全力を尽くしていれば、いまの泥沼事態は避けられたはずである。
***引用終了 有り難うございました
イスラム国の条件は、囚人の女性の解放が第一のようで、彼女をトルコ国境に連れてくることとなっているが、ヨルダン政府にすれば、せっかく彼女を移送しても、必ずヨルダン人パイロットが生還するかどうか疑問だと考えているのだろう。
twitterなどの情報によれば、パイロットは撃墜されて捕虜になった時に足に相当な負傷(膝から下が無い写真がネットに載っていたらしい、この写真は、今出回っている下半身をボカしたものに差し替えられたそうだ)をしていたとも考えられるようだ。また、イスラム国空爆のパイロットという立場からも、生存の可能性が危ぶまれているのかもしれない。
いずれにせよ、優位な立場にいるのはイスラム国であり、ヨルダンはアメリカ合衆国(或いは、イスラエル)や日本とイスラム国との板挟みのような状態に置かれていると思われる。
日刊現代の記事が不幸にも的中しなければいいのだが。
***
ツイッターは、ほとんど覗いていないので、今回次から次へとリンクを辿ってみてその情報量の多さ、情報提供の速さに驚嘆した。
湯川さんが最後に立ち上げた、いわゆる傭兵会社と思われる会社のホームページまで見ることが出来た。
このサイトに載っている湯川さんのブログ、
また、湯川さんが捕虜となった直後の尋問の状況がビデオですぐにネットに流されたことも初めて知った。
しかも、このビデオを巡って、日本のネットがすぐに反応し、ある人が、湯川さんを日本人あるいは湯川さんと認識した上で、日本人が「イスラム土人が・・・」に殺されるというような書き込みをし、それを見た親イスラムの日本人が、「この日本人は傭兵会社の人だ」というような内容を尋問中のイスラム国兵士に送信したというのだ。その記録というのがこれ。
これらの情報が事実なのかどうかは確認のしようがない。
これらが全部、今回の人質・身代金事件を有耶無耶にしたり、個人に責任をなすりつけようとするものの仕業ということも無いとはいえない。
その線を強調すれば、例の「自己責任論」が全面に出てくるだろう。
それが誰にとって好都合なのかすぐに分かる。
それにしても、湯川さんの傭兵会社といい、シリアらしい場所での射撃練習のビデオといい、湯川さんが捕虜となり長い拘束生活に入る前に、ご自分のブログにアップした写真に、何故後藤さんが写っているのかなど、謎だらけの情報である。
湯川さんは、少なくとも、イスラム国に参加しようとしていたのではなさそうだが、何故、中東の紛争に首を突っ込むような羽目になったのか、これはぜひとも解明してほしいことだ。
当然、何故、後藤さんが、そういう湯川さんの目論見を承知の上で、イスラム国に向かったのか、どうして、拘束されたのかの謎も同時に解明されるべきだろう。
日本政府は、こういう事情を全て知っていたはずである。
そのために、情報の監視をしているだろうから。
もし、全く知らなかったということであれば、情報の監視など必要ないということになる。
知っていて、あるいは、常岡さんの場合のように、少なくとも「行かない方がいい」という直接的なアドバイスをしていたとしても、日本国民が捕虜になるあるいは拘束されるという事態になったら、やはり、救助すべきだろう。
最近は、結構な年配の方(つまりお年寄り)が、どんどん冬山に入って、遭難している。
そもそも、体力が衰えていて、経験も無い中高年者が、冬山に入るなんて想像だにできない。
しかし、遭難してしまえば、救助しなければならない。
これが現代社会であり、民主国家なんだろう。
国内の事故には対応するが、面倒で金のかかる海外の事故には対応しないという手はあり得ない。
つまり、政府は、早く手を打つべきであり、日本が中心となって救助活動を強力に推し進めるべきだったのだ。
そういう意味でも、安倍総理の中東訪問と、そこで為した言行は不可解というべきだ。
*「もう読みましたか? 湯川・後藤両氏の問題が表面化するきっかけを作ってしまったとされる、エジプトでの安倍総理のスピーチ全文です。できるだけ検証する姿勢をもつために。」
すぐ眼と鼻の先に、危険な捕囚状態になっている日本国民がいた事を総理(二人の日本人の拘束を知っていた官僚が総理に報告していたはずだから)は知っていたはずなのだから。
今日の『20150130 報道するラジオ「イスラム国と日本人」』は、イスラム国側からアクセスがあって、昨年9月にイスラム法学者の中田先生と一緒にイスラム国に行ったことがある、ジャーナリストの常岡さんの最新の情勢分析が聞けます。
重要な内容で、興味深い記事です。
『イスラム国事件「自己責任論」噴出の裏で安倍政権が日本人拘束を隠蔽していた!?』